コンパクトな、あたたかい家
富山県入善町
ムダをなくして、 光と風を取り入れる
風の強い地域に建つSさん宅は、風の抵抗を防ぐため、あえてシンプルな四角い形に仕上げられている。
今は、ご主人、奥様、祖母様、息子さん、娘さんの5人暮らし。そのSさん宅を拝見した。
南側の大きな窓からたくさんの光が入り込むリビングは、冬場も電気要らずの明るさ。
ダイニング・キッチン、和室ともつながりがあり、開放感もいっぱいだ。
「ムダな部屋をなくして、コンパクトであたたかい家に住みたいと思っていたんです。」
奥様の夢が叶ったのは、2014年のこと。数年を経た今も、リビングのソファが奥様のお気に入りの場所だ。
「今はキッチンで料理を作りながら、テレビを観られるようになりました。家族の姿も見えるので、寂しい思いをしなくて済むのもいいですね。」
リビングと一体感がありながらも、キッチンカウンターの壁が高いため、料理の手元が見えないのもいい。並列にレイアウトされたダイニングは、盛りつけも配膳もラクチンだ。
「お坊さんが、来られたときは、こちらへお通ししています。」
と奥様が案内してくれたのは、リビングの隣にある畳のスペース。
ぱっと見は、シンプルな洋室だが、戸を開ければ、仏壇が設置されている。そして、リビングとの境にある三枚戸を締めれば個室になり、家族のプライベートスペースが見えなくなる。
そして、この畳スペースも明るい。
それは、リビングのソファの上に秘密がある。グレーチングを設けることで、風を通し、光を入れているのだ。
だから、上下階の空気の温度も同じぐらい。
「オール電化になったこともあって、冬場の光熱費は以前の1/3ぐらいになったんです。」
身体にやさしいパッシブデザインは、お財布の味方でもある。
「グレーチングの上は歩けるんですよ。洗濯物を干してもすぐ乾くから、家事の時間も減りました。いいことずくめです。」
サンルームの外にはベランダがあり、晴れた日には山々の美しい稜線がくっきりと見える。
「布団を干すのにピッタリ。眺めもいいでしょ。」
空のように晴れやかな奥様の笑顔。
その表情は、家庭の未来をも照らす。